pyMCを使用した事前分布からのサンプリング方法

pyMCの3つ目の記事です。

このブログではまだ超単純なものしか扱っていませんが、pyMCではかなり柔軟にモデルを構築できます。そうなってくると、自分が実装したモデルが妥当なものなのか、思うような事象を表現できているのかといったことをサンプリング前に確認しておきたくなるものだと思います。

そのような場合に備えて、pyMCでは、ベイズ推論を行う前に事前分布からそのままサンプリングを行い結果を確認するメソッドとして、 pm.sample_prior_predictive() というものが用意されています。
参考: pymc.sample_prior_predictive — PyMC dev documentation

使い方は簡単で、モデルを組んだ後にsample()の代わりにこれを呼び出すだけです。引数としてはサンプリングしたいデータ数を渡します。

では具体的にやってみましょう。今回は二項分布あたりを扱ってみましょうかね。$n=10$くらいで、$p$は0から1の一様分布からサンプリングしてみましょう。通常二項分布って$np$を期待値として山形になるのですが、$p$が固定されていないのでそうはならない例をお見せできると思います。

import pymc as pm
import arviz as az
import matplotlib.pyplot as plt


with pm.Model() as model:
    # 事前分布を設定
    p = pm.Uniform('p', lower=0, upper=1)
    y = pm.Binomial('y', n=10, p=p)

    # 事前分布からサンプリング
    prior_predictive = pm.sample_prior_predictive(samples=1000)

このサンプリングはかなり短時間で終わります。複雑なモデルの通常のサンプリングは結構時間がかかるので、その意味でも事前確認をしておくメリットはありますね。

サンプリングしたら結果を確認します。prior_predictive って変数に結果が確認されていますが、`prior_predictive.prior[“p”]`や`prior_predictive.prior[“y”]`のような形式でサンプリング結果を取り出せます。

arviz使って確認しましょう。

fig = plt.figure(figsize=(12, 5), facecolor="w")
ax = fig.add_subplot(1, 2, 1, title="p")
az.plot_dist(prior_predictive.prior["p"], ax=ax)
ax = fig.add_subplot(1, 2, 2, title="y")
az.plot_dist(prior_predictive.prior["y"], ax=ax)
plt.show()

結果がこちらです。

サンプルサイズ(1000と設定しました。デフォルトは500です。)が小さいのか、ちょっとpの分布がボコボコしていますが概ね想定通りの結果が得られましたね。

ArviZを使ってpyMCの推論結果を可視化する

pyMCの記事2記事目です。
前回非常にシンプルなモデルで推論をやりましたが、今回はその結果を可視化する便利なライブラリである、ArviZの紹介です。

ArviZはpyMCに限らず、ベイズモデルの分析や可視化、比較等を行うライブラリです。ベイズ推論の結果の分析に特化しているだけあって非常に多くの機能を持っています。
参考: ArviZ: Exploratory analysis of Bayesian models — ArviZ 0.18.0 documentation

今回は特に利用頻度が高いと思われるメソッドに絞って紹介していきます。

例としては前回の記事で作った単純なモデルを使います。前回のコードを走らせてサンプリングした結果が trace という変数に入ってるという前提で見ていってください。

参考: PyMC version 5 超入門

推論結果のサマリーをまとめる

最初に紹介するのは推論結果を統計値で返してくれる、az.summary()です。これだけは可視化ではない(グラフ等での表示ではない)のですがよく使うのでこの記事で紹介します。
参考: arviz.summary — ArviZ 0.18.0 documentation

pm.summary()とほとんど同じ挙動なのですが、トレース結果の統計値をDataFrame形式で返してくれます。

import pymc as pm
import arviz as az


az.summary(trace)
# 以下結果
"""
mean	sd	hdi_3%	hdi_97%	mcse_mean	mcse_sd	ess_bulk	ess_tail	r_hat
mu	3.157	0.192	2.774	3.501	0.003	0.002	4182.0	2738.0	1.0
sigma	1.933	0.133	1.687	2.184	0.002	0.002	3934.0	3009.0	1.0
"""

各変数の平均値等が確認できるので便利ですね。

サンプルの系列(トレース)を可視化する

次に紹介するのは az.plot_trace()です。MCMCの可視化としては一番ポピュラーなやつではないでしょうか。
参考: arviz.plot_trace — ArviZ 0.18.0 documentation

今回用意している例では2変数を4系列で1000ステップサンプリングしていますので、その分布とトレースを一気に可視化してくれます。
手元で試したところ、ちょっとラベルが重なっていたので、matplotlibのメソッドを一つ呼び出して調整しています。

import matplotlib.pyplot as plt


az.plot_trace(trace)
plt.tight_layout()
plt.show()

出力結果がこちらです。

いい感じですね。

事後分布を可視化する

さっきのトレースの左半分にも表示されてはいるのですが、本当に欲しい結果は事後分布です。それを表示することに特化しているのが az.plot_posterior() です。
参考: arviz.plot_posterior — ArviZ 0.18.0 documentation

やってみます。

az.plot_posterior(trace)
plt.show()

出力がこちら。事後分布と変数名、期待値等やhdiなどを可視化してくれましたね。

フォレストプロットで可視化する

フォレストプロットとは何か?というのは実物を見ていただいた方が早いと思うのでやってみます。2変数なのでいまいちありが分かりにくいと思いますが、変数の数が多いとこれは非常に便利です。
参考: arviz.plot_forest — ArviZ 0.18.0 documentation

az.plot_forest(trace)
plt.show()

結果がこちら。

サンプリングの系列ごとに可視化してくれていますね。引数で、 combined=True を一緒に渡すと、系列をまとめて変数ごとに集計してくれますよ。

kind等の引数で見た目を変えていくこともできるのでドキュメントを参照していろいろ試してみてください。

分布を可視化する

最後は、ちょっと特殊です。AzviZにはnumpyの配列などを受け取って単純に分布を表示するメソッドなども用意されています。それが、az.plot_dist()です。
参考: arviz.plot_dist — ArviZ 0.18.0 documentation

これは、numpy配列(要するにarray)を受け取るので、先ほどまでの例のようにtraceをそのまま渡せません。pyMCの事後分布を可視化したいのであれば、traceからサンプリングした結果の部分を自分で取り出して渡す必要があります。

例えば、muの方であればこのようになります。

az.plot_dist(trace.posterior['mu'].values.ravel())
plt.show()

結果がこちら。

これはpyMCの結果以外でも汎用的に使えるやつなので一緒に紹介しました。

その他の補足

今回の記事では、例としたモデルが非常に単純だったので使いませんでしたが、大規模なものになると全変数表示すると潰れてしまって読み取れないということが起きます。
そのような場合、それぞれのメソッドが var_names という引数で出力する変数を絞り込めるようになっているで使ってみてください。

また、多くのメソッドは ax 引数などを受け取れるようになっているで、出力先のaxを指定してmatplotlibの機能で出力を加工することなどもできます。

それ以外にも各メソッドさまざまなオプションを持っているのでぜひドキュメントを参照しながら使いこなしてみてください。

PyMC version 5 超入門

半年ほど前から、PyMCを使うようになりました。だいぶ慣れてきたのでこれから数回の記事でPyMCの入門的な内容をまとめていこうと思います。(記事執筆時間の制約等の要因で途中で違うテーマの記事を挟むかもしれませんができるだけ連続させたいです。)

PyMCとは

PyMCはPythonで書かれたオープンソースの確率的プログラミングライブラリです。ベイズ統計モデルを構築、分析し、複雑な統計的問題を解くことができます。PyMCのversion4の開発ではいろいろゴタゴタがありバージョン番号がスキップされたようですが、現在ではverison5がリリースされています。

公式ドキュメントはこちらです。
参考: Home — PyMC project website

特徴としては、線形モデルから複雑な階層モデルまで、幅広いモデルを柔軟に構築できることや、最新のMCMCアルゴリズムを利用して、効率的にサンプリングが行えることが挙げられます。

ただし、柔軟にモデルを構築できる反面で、自分でモデルの内容を実装しないといけないのでscikit-learnのような、既存のモデルをimportしてfit-predictさせたら完結するような単純なAPIにはなっていません。それでも、かなり直感的なAPIにはなっていると感じています。

サンプルコード

一番最初の記事なので、今回は本当に一番単純なサンプルコードを紹介します。これは正規分布に従う標本を生成して、そのパラメーターを推定するというものです。

ダミーデータは平均3, 標準偏差2の正規分布から取りました。

ベイズ推定するので、パラメーターに事前分布が必要です。これは平均の方は平均0、標準偏差10の正規分布、標準偏差の方はsigma=10の半正規分布を設定しました。

ダミーデータ生成からモデルの作成までが以下のコードです。

import pymc as pm
import numpy as np

# ダミーデータを生成
true_mu = 3
true_sigma = 2
np.random.seed(seed=10)
data = np.random.normal(true_mu, true_sigma, size=100)

with pm.Model() as model:
    # 事前分布を設定
    mu = pm.Normal('mu', mu=0, sigma=10)
    sigma = pm.HalfNormal('sigma', sigma=1)

    # 尤度関数を設定
    likelihood = pm.Normal('likelihood', mu=mu, sigma=sigma, observed=data)

ダミーデータの生成分は単純なのでいいですね。
その後が本番です。
PyMCでは、withを使ってコンテキストを生成し、その中に実際のコードを書いていきます。
pm.Normal や pm.HalfNormal など、さまざまな確率分布が用意されていますが、それを使って変数の事前分布を定義しています。

そして、そこで事前分布を設定された変数、mu, sigmaを使って最後の正規分布を定義し、観測値(observed)として用意したダミーデータを渡しています。

Graphvizを導入している環境の場合、次のようにしてモデルを可視化できます。
これはコンテキストの外で行えるので注意してください。(displayしていますが、これはjupyter上に表示することを想定しています。)

g = pm.model_to_graphviz(model)
display(g)

出力結果がこちらです。

モデルが出来上がったらサンプリングを行います。

サンプリングはコンテキスト内で、pm.sample()メソッドを呼び出すことで行います。
引数としては初期の捨てるサンプル数(tune)と、分析に利用するサンプル数(draws)、さらにサンプル値系列を幾つ生成するかを示すchainsを渡します。

with model:
    trace = pm.sample(
        draws=1000,
        tune=1000,
        chains=4,
    )

# 以下出力。時間がかかる処理の場合プログレスバーも見れるので助かります。
Auto-assigning NUTS sampler...
Initializing NUTS using jitter+adapt_diag...
Multiprocess sampling (4 chains in 4 jobs)
NUTS: [mu, sigma]

 100.00% [8000/8000 00:00<00:00 Sampling 4 chains, 0 divergences]
Sampling 4 chains for 1_000 tune and 1_000 draw iterations (4_000 + 4_000 draws total) took 1 seconds.

サンプルが終わったら要約を表示します。

# サンプルの要約を表示
summary = pm.summary(trace)
print(summary)

# 結果
	mean	sd	hdi_3%	hdi_97%	mcse_mean	mcse_sd	ess_bulk	ess_tail	r_hat
mu	3.155	0.191	2.792	3.506	0.003	0.002	3867.0	2867.0	1.0
sigma	1.933	0.135	1.687	2.191	0.002	0.002	3927.0	3150.0	1.0

meanの値を見ると、それぞれ真の値に結構近い値が得られていますね。

以上が、本当に一番シンプルなPyMCの使い方の記事でした。

今後の記事ではもう少し細かい仕様の話や発展的な使い方、ArviZという専用の可視化ライブラリの話などを紹介していきたいと思います。

端末内の各フォルダに散らばっているファイルやドットファイルをGitで管理する

今回の記事は技術的には特に難しい話はなく、Gitのちょっとした応用なもので本職のエンジニアの人たちの間ではもしかしたら常識なのかもしれませんが、自分にとっては革新的だったので紹介しておきます。

プロジェクトのコードやファイルを管理するためにGitは普通に使っていると思いますが、何か大きなプロジェクトではなくて、端末(Macを想定)内の各ディレクトリに散っているファイルを個別にバージョン管理したくなることってないですか。

例えば、ホームディレクトリにある.vimrcなど.(ドット)始まりの隠しファイルとか、自分がよく使うコードをまとめた自作モジュールとか、頻繁に書くSQLの部品をまとめたメモとか、Pythonの環境構築に使う、requirements.txtなどもそうですね。
このファイルはGitで管理したいけど、それぞれの配置場所を個別にリポジトリにするのは面倒だし、同じディレクトリ内にGit管理が適さない属性のファイルもたくさんあるなぁ、っていう状況です。

このように、配置場所が散らばったファイルを1個のリポジトリで管理する方法があることを最近知りました。

やり方は簡単で、どこかに一つだけリポジトリを作り、その配下に各所に散らばっているファイルを集めてそれをgit管理し、元のフォルダにはシンボリックリンクを貼ると良いです。

まぁ、普通にディレクトリをどこかに掘って、リポジトリを作ります。
最初のコミットは空コミットにしておきましょう。

% mkdir my_files
% cd my_files
% git init
% git commit -m "first commit" --allow-empty

そして、このディレクトリへgit管理したいファイルたちを集めて、元ディレクトリへシンボリックリンク貼ってきます。
参考: ハードリンクとシンボリックリンク

% mv {元のファイルパス} {リポジトリ内のファイルパス}
% ln -s {リポジトリ内のファイルパス} {元のファイルパス}

どのファイルをどこにリンクしているかは、それはそれでREADME.md ファイルかどこかに一緒に記録しておくと良いでしょう。

ちなみに、リポジトリのルート直下に全ファイルまとめておくのはお勧めしません。dotファイルのディレクトリとかPythonモジュールのディレクトリとか切ってリポジトリ内を適切に整理しましょう。

こうすると、一つのリポジトリに各所に置いてあったファイルの実体が集まるのでgitでまとめて管理できるようになります。

そして本来の配置場所にはシンボリックリンクが貼られているので今までと全く同じように使用することができます。

注意点としては、ドットファイルの中でも特にセキュアな認証情報などを環境変数に設定するファイルを管理する場合の流出リスクですね。セキュアな情報はこの管理の対象外にするか、対象にするのであればgithub等外部のリポジトリへは上げない方が良いでしょう。(誤って公開リポジトリに上げてしまうと大事故に繋がり得ます)

J-Quants APIのページング処理に対応する

久々にJ-Quants API の記事です。もう結構前の話(2023/06/16)の話ですが、J-Quants APIはデータ量の増加位に対応するためにページング処理というものが導入されました。
参考: お知らせ – J-Quants API の 過去のお知らせ部分見てください。

要するにAPIから取得できるデータの量が多い時に、全部のデータを一度では取得できず、一部分だけ取得できるって話ですね。

こちらについて利用方法を記事にしておきます。

ページング処理対応方法

詳しくはこちらをご参照ください。
参考: API共通の留意事項 – J-Quants API

レスポンスが帰ってきた時、結果にpagination_key が含まれていたらページング(ページネーション)が発生しており、そこで得られた結果は取得したかったデータの全量ではありません。
得られたpagination_keyの値を付与して再度リクエストすることで以降のデータを得ることができます。

サンプルコード参照してやってみましょう。
ちなみに、認証にidトークンが必要ですがその取得方法は僕の過去記事参照してください。
参考: J-Quants API の基本的な使い方
以下の記事では、 id_token って変数にすでにトークンが取得できているものとします。

import json
import requests
import pandas as pd


print(len(id_token))  # id_tokenは過去記事の方法ですでに取得してるとします。(文字数確認)
# 1107

# 特定の日付の4本値を取得する
date = "2024-03-15"
daily_quotes_url = f"https://api.jquants.com/v1/prices/daily_quotes?date={date}"
headers = {"Authorization": f"Bearer {id_token}"}
daily_quotes_result = requests.get(daily_quotes_url, headers=headers)

# レスポンスに、pagination_key が含まれていることが確認できる。
print(daily_quotes_result.json().keys())
# dict_keys(['daily_quotes', 'pagination_key'])

pagination_key = daily_quotes_result.json()["pagination_key"]

# pagination_key も付与してもう一度リクエストする。
daily_quotes_url_2 = f"https://api.jquants.com/v1/prices/daily_quotes?date={date}&pagination_key={pagination_key}"
daily_quotes_result_2 = requests.get(daily_quotes_url_2, headers=headers)

# 今度は、pagination_keyは含まれていない。
print(daily_quotes_result_2.json().keys())
# dict_keys(['daily_quotes'])

# それぞれデータが得られている。
len(daily_quotes_result.json()["daily_quotes"]),  len(daily_quotes_result_2.json()["daily_quotes"])
# (4030, 312)

# それぞれ配列型のデータなので + で連結できる。
# DataFrame化までついでに行った。
df = pd.DataFrame(daily_quotes_result.json()["daily_quotes"]
                  + daily_quotes_result_2.json()["daily_quotes"])

print(len(df))
# 4342

1回目のリクエストでは、本当は4342件得られるはずだったデータのうち、4030件しか取得できてなかったことがわかりますね。そして、pagination_keyを合わせて送信することで、続きを取得できています。

上記のサンプルコードはわかりやすさ優先のため、2回で全部取得できると決め打ちしていますが、実際は2回目のリクエストでもpagination_keyが戻ってくる可能性があります。

そのため、実際の運用ではドキュメントのコードのようにpagination_keyがなくなるまでループするような実装にすると良いでしょう。

# 特定の日付の4本値を取得する
date = "2024-03-15"
daily_quotes_url = f"https://api.jquants.com/v1/prices/daily_quotes?date={date}"
headers = {"Authorization": f"Bearer {id_token}"}
daily_quotes_result = requests.get(daily_quotes_url, headers=headers)

# 1回目のレスポンスで得られたdata
data = daily_quotes_result.json()["daily_quotes"]

# pagination_keyが含まれている限りはループする。
while "pagination_key" in daily_quotes_result.json():
    pagination_key = daily_quotes_result.json()["pagination_key"]
    daily_quotes_url = f"https://api.jquants.com/v1/prices/daily_quotes?date={date}&pagination_key={pagination_key}"
    daily_quotes_result = requests.get(daily_quotes_url, headers=headers)
    # 得られたデータを連結する。
    data += daily_quotes_result.json()["daily_quotes"]


# データが揃っている。
print(len(data))
# 4342

これで、J-Quants APIのページング処理にも対応できました。

pandas.qcutでデータを分位数で離散化する

今回の記事ではpandasのqcutという関数を紹介します。
参考: pandas.qcut — pandas 2.2.1 ドキュメント

記事タイトルに書いていますが、これは分位数に基づいてデータを離散化する関数です。
実は以前、数値の区間で区切って離散化するpandas.cutというのを紹介したことがあるのですが、その仲間みたいなものですね。僕はつい最近までqcutを知りませんでしたが。
参考: pandasで数値データを区間ごとに区切って数える

cutでは数字の絶対値を基準に、0以上100未満、100以上200未満、みたいにデータを切り分けることができましたが、qcutでは分位数(パーセンタイル)を基準にデータを分けることができます。要するに、4つに分けるのであれば、25%以下、50%以下、75%以下、それより上、みたいにデータを区切り、各区切りには大体同じ件数のデータが分類されます。

cutだったら区間の幅が揃い、qcutだったら各区間に含まれるデータの件数が揃うというのが一番簡潔な説明ですね。

適当に乱数を使ってやってみましょう。ポアソン分布で200個ほどデータを作って、q_cutで5つのグループに分けてみます。

import pandas as pd
from scipy.stats import poisson  # テストデータ生成用


# λ=100のポアソン分布に従う乱数を200個生成
data = poisson(mu=100).rvs(size=200, random_state=0)
print(data[:10])  # 最初の10項表示
# [101 103  98  98 127 109 102  82  99  86]

# データと区切りたいグループの個数を指定して実行
out = pd.qcut(data, q=5)
# 各データがそれが含まれる区間お
print(out)
"""
[(97.0, 102.0], (102.0, 107.0], (97.0, 102.0], (97.0, 102.0], (107.0, 127.0], ..., (102.0, 107.0], (102.0, 107.0], (92.0, 97.0], (92.0, 97.0], (78.999, 92.0]]
Length: 200
Categories (5, interval[float64, right]): [(78.999, 92.0] < (92.0, 97.0] < (97.0, 102.0] < (102.0, 107.0] < (107.0, 127.0]]
"""

データの先頭の方と、あと、結果をprintして表示されたやつを上のコードに出しました。Categories として5つの区間が表示されていますが、「それぞれのデータがどの区間に含まれているのか」に変換されたものが得られていますね。例えば最初のデータは101ですが、これは区間(97, 102] に含まれます。

区間にラベルをつけることもできます。低い方からL1, L2, L3 みたいにつけていく場合はlabel引数にqで指定した数と同じ要素数の配列を渡して実現します。(今回文字列でサンプル作っていますが、数値をラベルにすることもできます。)

# ラベルを指定する
out = pd.qcut(data, q=5, labels=["L1", "L2", "L3", "L4", "L5"])
print(out)
"""
['L3', 'L4', 'L3', 'L3', 'L5', ..., 'L4', 'L4', 'L2', 'L2', 'L1']
Length: 200
Categories (5, object): ['L1' < 'L2' < 'L3' < 'L4' < 'L5']
"""

変換後のデータとして扱いやすそうな形で結果が得られました。

ただ、それぞれのラベルの区間がこれだとわからないですね。区間の情報を別途得る必要があるのでその場合はretbins引数にTrueを渡して、結果を受け取るときにもう一個変数を用意して受け取ることで、区切り位置の譲歩を得ることもできます。もちろん、labelsは使わずに、retbinsだけ指定することもできますよ。

# ラベルを指定する
out, bins = pd.qcut(data, q=5, labels=["L1", "L2", "L3", "L4", "L5"], retbins=True)
print(out)
"""
['L3', 'L4', 'L3', 'L3', 'L5', ..., 'L4', 'L4', 'L2', 'L2', 'L1']
Length: 200
Categories (5, object): ['L1' < 'L2' < 'L3' < 'L4' < 'L5']
"""
# 区切り位置の情報
print(bins)
# [ 79.  92.  97. 102. 107. 127.]

最後に注意です。qcutを使うと連続値のデータは大体同じ個数ずつに分けてくれることが多くそれが目的で使うことが多くなるのですが、今回の例のように整数値など離散な値しか取らない場合はそうでもなくなってきます。今回乱数で発生したデータはちょうど区切り位置の107が10個も混ざってた等々の事情で、ちょっとだけ偏りが出ています。実際に使う場合はこのあたりの結果もよく注意してみてください。

print(out.value_counts())
"""
L1    44
L2    39
L3    39
L4    41
L5    37
dtype: int64
"""

np.vectorizeで関数をベクトル化する

NumPyやScyPyの関数って非常に便利で、NumPy配列(要するにArray)を渡すと空気を読んでその渡したデータの各要素に関数を適用してNumPy配列で結果を返してくれたりします。

自分で定義した関数でもNumPyやSciPyの関数の組み合わせで作った関数であれば結構そのように動いてくれるのですが、文字列操作が入ったりif文による分岐等があると必ずしもそうはならず、スカラー値を受け取ってスカラー値を返すだけの関数になることがあります。

そのような関数を、手軽にベクトルか対応することができる方法があるのでこの記事で紹介します。

それが、記事タイトルのnp.vectorizeです。

ドキュメント: numpy.vectorize — NumPy v1.26 Manual

関数を渡すと戻り値で新しい関数オブジェクトが帰ってきてそれがベクトル対応(配列対応)しています。

基本的な使い方

数学関数だと特にArrayを渡すと元々期待通り動いたりするので、少々無理矢理な例ですが文字列操作の関数を作ってお見せします。これは数値を1個受けとって、その数値に、「回目」っていいう単位をつけて返すだけの関数です。普通に実験、そのまま配列渡してみる、ベクとライズして配列を渡してみる、の3パターンやってみました。

import numpy as np


# 数値に単位をつける関数を実装
def number_format(n):
    return f"{n}回目"


# 数値を渡すと想定通り動く
print(number_format(5))
# 5回目

# 配列を渡すと配列を一個の値とみなして文字列化して単位をつけてしまう。
print(number_format([1, 2, 3]))
# [1, 2, 3]回目

# ベクトル化した関数を作る
number_format_vec = np.vectorize(number_format)

# それに配列を渡すと配列の各要素に元の関数を適用してくれる。
print(number_format_vec([1, 2, 3]))
# ['1回目' '2回目' '3回目']

# Array型もタプルもいける
print(number_format_vec(np.array([1, 2, 3])))
# ['1回目' '2回目' '3回目']
print(number_format_vec((1, 2, 3)))
# ['1回目' '2回目' '3回目']

# もちろん、内包表記で同じことをすることは可能(ただし、この結果はlist)
print([number_format(n) for n in [1, 2, 3]])
# ['1回目', '2回目', '3回目']

ベクトル化した関数を1回しか使わないなら内包表記で済ましちゃっていいんじゃないかな、と思うのですが、何度も利用したい関数であればnp.vectorizeを使うと言う選択肢もあるのかな、と思います。

注意点

NumPyやSciPyで実装されている関数群って並列処理できる部分は並列処理するような賢い実装になっていることがありますが、この np.vectorize はそこまで気が利いたものではありません。どうやら単純にfor文で順次処理するようになるだけらしいので処理の高速化等の効果はありません。ドキュメントにも利便性のためのもので、パフォーマンスのため使うようなものではなく、for loop回してるだけだって書いてありますね。

そのため、本当に頻繁に大規模なベクトルを処理する関数なのであれば別の方法で対応させる必要があるでしょう。

もう一点、細かいですが戻り値がNumPyのarrayであることも注意が必要ですね。と言ってもこれは便利に感じることが多いですが。内包表記であればlistで結果が得られますがvectorizeするとlist渡してもlistではなくarrayで帰ってきます。

引数を複数受け取る関数の場合

この np.vectorize は引数を複数受け取る関数にも対応しています。ドキュメントのサンプルもa, b の2変数受け取っていますしね。一応その例も見ておきましょう。年と月の数値を受け取って何年何月、という文字列返す関数でやってみます。

def month_str(year, month):
    return (f"{year}年{month}月")


month_str_vec = np.vectorize(month_str)

# 元の関数はyear, monthは1個ずつしか値を受け取れない
print(month_str([2020, 2023, 2026], [1, 4, 7]))
# [2020, 2023, 2026]年[1, 4, 7]月

# ベクトル化すると複数ペアをまとめて処理できる。
print(month_str_vec([2020, 2023, 2026], [1, 4, 7]))
# ['2020年1月' '2023年4月' '2026年7月']

# 片方は配列で、片方はスカラーというパターンにも対応する
print(month_str_vec([2020, 2023, 2026], 1))
# ['2020年1月' '2023年1月' '2026年1月']

さいごに

以上が手軽に関数をベクトル化する方法でした。まぁ、内包表記もあればmapを使うやり方もあるのでこれが必須というわけではないのですがいい感じに動く関数を手軽に作る方法として頭の片隅に置いておくと使う場面はあるんじゃないかなと思います。

ちなみに、関数を定義した直後にベクトル化した関数で元の関数名を上書きしておくと、最初っからベクトル化した関数を宣言したのと同じように使えますよ。

def func(x):
    # 何かの処理


func = np.vectorize(func)
# 以降に呼び出されるfuncはベクトル対応した関数。

Macで特定のポートが使用中かどうか調べる

Jupyter LabをローカルのMacで使っており、それを起動するバッチを自作して使っているのですが、たまにすでに起動してるのにそのバッチを実行してしまってJupyterのプロセスを2重に立ち上げてしまうことが度々ありました。

2個立ち上げっぱなしとなると気持ち悪いのでPIDを調べてkillする必要がありやらかすとちょっと面倒なミスです。

最初、この対策としてプロセスをgrepしてjupyterがすでに立ち上がってたらバッチを中断して起動コマンドを叩かない、みないな処理を入れて対応しようとも試みていたのですが、grep jupyter 自身がそのgrepにヒットするというなかなか困った挙動をしうまくいかずに放置していました。

しかしその後、プロセス一覧ではなくポートが使用中かどうかで判断すれば良いと思いついたので実装してみました。

利用するのは、lsof というコマンドです。これはポートに限らず、システムで開いているファイルの一覧を表示するコマンドです。名前も List Open Files の略だそうです。

今回はポートの情報だけ知れたらいいので、 -i 引数をつけます。そして、さらにコロンを打ってポート番号を指定すると、そのポートが使用されていれば使用しているプロセスの一覧が各種情報とともにずらずらと表示されます。

Jupyter Labは デフォルトでは 8888番ポートで動作するので、次のようなコマンドで確認できます。

$ lsof -i :8888
# 8888番ポートが使われていなければ何も表示されない。

# Jupyter Labが起動していると各プロセスが結果に出る。
COMMAND    PID   USER   FD   TYPE            DEVICE SIZE/OFF NODE NAME
Google     808 yutaro   21u  IPv6 0x12572c541560807      0t0  TCP localhost:49319->localhost:ddi-tcp-1 (ESTABLISHED)
Google     808 yutaro   34u  IPv4 0x12572d3a3516cff      0t0  TCP localhost:49234->localhost:ddi-tcp-1 (ESTABLISHED)
Google     808 yutaro   37u  IPv6 0x12572c541540007      0t0  TCP localhost:49253->localhost:ddi-tcp-1 (ESTABLISHED)
Google     808 yutaro   80u  IPv6 0x12572c54155b807      0t0  TCP localhost:49213->localhost:ddi-tcp-1 (ESTABLISHED)
Google     808 yutaro  108u  IPv6 0x12572c541546007      0t0  TCP localhost:49216->localhost:ddi-tcp-1 (ESTABLISHED)
python3.1 1096 yutaro   11u  IPv4 0x12572d3a351ba6f      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1 (LISTEN)
python3.1 1096 yutaro   12u  IPv6 0x12572c54154a007      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1 (LISTEN)
python3.1 1096 yutaro   13u  IPv6 0x12572c54155e807      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1->localhost:49319 (ESTABLISHED)
python3.1 1096 yutaro   14u  IPv6 0x12572c54155c007      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1->localhost:49213 (ESTABLISHED)
python3.1 1096 yutaro   16u  IPv6 0x12572c541548007      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1->localhost:49216 (ESTABLISHED)
python3.1 1096 yutaro   37u  IPv4 0x12572d3a351780f      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1->localhost:49234 (ESTABLISHED)
python3.1 1096 yutaro   50u  IPv6 0x12572c54153e807      0t0  TCP localhost:ddi-tcp-1->localhost:49253 (ESTABLISHED)

Python は3.11を使っているのに、COMMAND名が途中で切り捨てられて3.1って表示されていますが、まぁ、Pythonで何か動いているのはわかりますね。

あとは、Jupyter Labの起動バッチで、このコマンドを動かして処理を分岐させればOKです。

(自分はnohupコマンドの結果を専用のログファイルにログを書き出しているのですが、不要なら/dev/null あたりに捨てても良いと思います。)

if 文の条件文の中で出力を /dev/nullに捨てているのは出力をすっきりさせるためです。捨てない場合は普通に画面にlsofコマンドの結果も表示されます。

#!/usr/bin/env zsh
if lsof -i:8888 > /dev/null; then
    echo "8888番ポートは既に使用されています。"
    exit 1
else
    cd ~
    nohup jupyter lab >> ~/Documents/log/jupyter_lab.log 2>&1 &!
    cd -
fi

cd ~ はホームディレクトリに移動する、 cd – は元のディレクトリに戻る、です。
どこで打ってもホームディレクトリでJupyter Labが起動されるように、そしてそのあとは元のディレクトリに帰るようにしています。

この記事を書いた後に気づいきましたが、このlsofコマンドは以前こちらの記事でも使っていましたね。
参考: sshtunnel を使って踏み台サーバー経由でDB接続

コマンドでMacbookのスリープを一時的に抑制する

バッテリーの持ちとセキュリティ関連の理由により、一定時間アイドル状態になったらスリープする設定でMacを使っている方は多いと思います。
僕もそうです。

ただ、機械学習のモデルを学習している場合や、ベイズモデルでMCMCのサンプリングをやっている時など、しばらく作業の待ち時間が発生することがあり、その脇で本を世だりして時間を潰しているといつの間にかPCがスリープしてしまうということがあります。

普通にシステム環境設定からスリープまでの時間の設定を変えて、作業後に戻せばいいだけの話なのですが、それはやや手間です。

しかし、最近コマンドで一時的にスリープを抑制できることを知ったのでそれを紹介します。

コマンド名は caffeinate です。名前はコーヒーのカフェインが由来だとか。面白いですね。

細かいオプションが複数あり、それらを組み合わせて使います。

-d ・・・ ディスプレイのスリープを抑制
-i ・・・ システムのスリープを抑制
-m ・・・ ディスクのスリープを抑制
-s ・・・ AC電源で動作している場合にシステムのスリープを抑制
-u ・・・ -tとセットで利用し、ユーザーがアクティブであることを宣言する
-t ・・・ -uの時間を秒数で指定する

例えば30分間くらいスリープしたくないのであればこんな感じですね。

$ caffeinate -d -u -t 1800

-t で時間を指定するとその時間経過時に勝手に終了しますが、そうでない場合は Ctrl + d でコマンドを中断するまで抑制してくれます。

そもそも一定時間でスリープするような設定にしている事情(おそらくセキュリティ的な話)があると思うので、個人的には-tで時間を指定して使うのがお勧めです。

scipy.statsで確率分布を自作する

SciPyのstatsモジュールには非常に多くの確率分布が定義されています。
参考: Statistical functions (scipy.stats) — SciPy v1.12.0 Manual

ほとんどの用途はこれらを利用すると事足りるのですが、自分で定義した確率分布を扱うこともあり、scipyのstatsに用意されているような確率分布と同じようにcdfとかのメソッドを使いたいなと思うことがあります。

そのような場合、SciPyではscipy.stats.rv_continuousを継承してpdfメソッドを定義することで確率分布を定義でき、そうすれば(計算量や時間の問題などありますが)cdf等々のメソッドが使えるようになります。

参考: scipy.stats.rv_continuous — SciPy v1.12.0 Manual

実はSciPyの元々用意されている確率分布たちもこのrv_continuousを継承して作られているので、それらのソースコードを読むと使い方の参考になります。既存の確率分布等はpdfだけでなく、cdf、sf、ppf、期待値や分散などの統計量などが明示的に実装されていて計算効率よく使えるようになっています。

しかし先ほども述べた通り、pdf以外は必須ではなく実装されていなければpdfから数値的に計算してくれます。(ただ、予想外のところで計算が終わらなかったり精度が不十分だったりといった問題が起きるので可能な限り実装することをお勧めします。)

確率分布クラスの自作方法

さて、それでは実際にやってみましょう。既存に存在しない例が良いと思うので、正規分布を2個組み合わせた、山が2個ある分布を作ってみます。

クラスを継承して _pdf (pdfではない) メソッドをオーバーライドする形で実装します。

import numpy as np
from scipy.stats import rv_continuous
import matplotlib.pyplot as plt


# 確率密度関数の定義
def my_pdf(x):
    curve1 = np.exp(-(x+3)**2 / 2) / np.sqrt(2 * np.pi)
    curve2 = np.exp(-(x-3)**2 / 2) / np.sqrt(2 * np.pi)

    return (curve1 + curve2)/2


# rv_continuousクラスのサブクラス化
class MyDistribution(rv_continuous):
    def _pdf(self, x):
        return my_pdf(x)


# 分布のインスタンス化
my_dist = MyDistribution(name='my_dist')


# 可視化
x = np.linspace(-6, 6, 121)
fig = plt.figure(facecolor="w", figsize=(8, 8))
ax = fig.add_subplot(2, 2, 1, title="pdf")
ax.plot(x, my_dist.pdf(x))

ax = fig.add_subplot(2, 2, 2, title="cdf")
ax.plot(x, my_dist.cdf(x))

ax = fig.add_subplot(2, 2, 3, title="sf")
ax.plot(x, my_dist.sf(x))

ax = fig.add_subplot(2, 2, 4, title="logpdf")
ax.plot(x, my_dist.logpdf(x))

plt.show()

結果がこちらです。

実装したのはpdfだけでしたが、cdfやsf、logpdfなども動いていますね。
繰り返しになりますが、これらは数値計算されたものなので十分注意して扱ってください。特に精度と計算量はもちろんですが、指数関数等もからむので、極端な値を入れたら計算途中でオーバーフローが起きたりもします。重要なものは_pdfと同様に_cdfなどとして明示的に定義した方が良いでしょう。

たとえば、先ほどの分布は分散の計算に少し時間がかかります。

%%time
my_dist.var()
"""
CPU times: user 8.02 s, sys: 146 ms, total: 8.16 s
Wall time: 8.06 s
10.000000000076088
"""

確率密度関数を用意するときの注意点

確率密度関数を自分で作りましたが、この内容に対してのバリデーションなどは用意されていないので自分で責任を持って管理する必要があります。

たとえば、変数xの定義域で正であること、定義域全体で積分したら1になることなどは事前に確認しておく必要があります。(確率密度関数の定義を満たしてないととcdfなど他のメソッドが変な動きをします)

確率分布の台が有限の場合

もう一点、先ほどの2山の分布はxが$-\infty$から$\infty$の値を取る分布でしたが、確率分布の中にはそうではないものもあります。正の範囲でしか定義されない対数正規分布や指数分布、有限区間でしか定義されないベータ分布などですね。

これらについては、「分布のインスタンス化」を行うタイミングで台の下限上限をそれぞれa, b という引数で行います。省略した方は$-\infty$もしくは$\infty$となります。

確率密度関数が上に凸な放物線で定義された分布でやるとこんな感じです。

def my_pdf2(x):
    return 6*x*(1-x)


class MyDistribution2(rv_continuous):
    def _pdf(self, x):
        return my_pdf2(x)


# 分布のインスタンス化
my_dist2 = MyDistribution2(a=0, b=1, name='my_dist2')

以上が、SciPyで連続確率分布インスタンスを自作する方法でした。