ガンマ分布がポアソン分布の共役事前分布である事の証明

前回の記事に続いて今回もガンマ分布の話です。そもそもこのブログの一連の記事でガンマ分布が登場した理由はこれがポアソン分布の共役事前分布だからですが、有名な性質の割にこれの証明を自分がちゃんとやったことがないような気がしたのでやってみました。

共役事前分布とは

最初に軽く共役事前分布自体の説明を書いておきます。これはベイズ統計における概念で、特定の統計モデルにおいて、事後分布の形が事前分布と同じ分布族に属するような事前分布のことを指します。

例えば、ベータ分布は二項分布の共役事前分布なので、二項分布のパラメーター$p$の事前分布をベータ分布にしておくと、事後分布もベータ分布になるので計算が楽です。

早速本題のガンマ分布がポアソン分布の共役事前分布であることを証明してみましょう。

ポアソン分布の尤度関数

まず、ポアソン分布の確率密度関数は期待値$\lambda$をパラメーターとして以下になります。

$$
Po(k|\lambda) = \frac{e^{-\lambda}\lambda^k}{k!}.
$$

ここで観測値$\{x_1, x_2, _dots, x_n\}$が与えられると、その尤度関数は次になります。

$$
L(\lambda) = \prod_{i=1}^{n} Po(x_i|\lambda) = \prod_{i=1}^{n} \frac{e^{-\lambda}\lambda^{x_i}}{x_{i}!} = e^{-n\lambda}\lambda^{\sum_{i=1}^n x_i} \prod_{i=1}^{n} \frac{1}{x_{i}!}.
$$

事前分布のガンマ分布

次に事前分布を見ておきます。以前の記事で$k$, $\lambda$をパラメーターとして使いましたがこの記事では先に別の意味でこれらの文字を使ってしまっていますので$\alpha$, $\beta$をパラメーターとして使うと、$\lambda$の事前分布の確率密度関数は次で表されます。

$$
Ga(\lambda| \alpha, \beta) = \frac{\beta^\alpha}{\Gamma(\alpha)}\lambda^{\alpha-1}e^{-\beta\lambda}.
$$

事後分布の導出

さて、ここから事後分布を計算していきましょう。分布の形だけ着目すればいいので、事後分布の$\lambda$に関係ない部分は無視していきます。

$$\begin{align}
p(\lambda| x_1, x_2, _dots, x_n) & \propto L(\lambda) \times Ga(\lambda| \alpha, \beta)\\
& \propto \left(e^{-n\lambda}\lambda^{\sum_{i=1}^n x_i} \right) \times \left( \lambda^{\alpha-1}e^{-\beta\lambda} \right)\\
& \propto \lambda^{\alpha -1 +\sum_{i=1}^{n} x_i} e^{-\lambda(\beta+n)}.
\end{align}
$$

さて、この導出された事後分布(の確率密度関数に比例する式)の形式をよく見るとガンマ分布の形をしていることがわかります。具体的には、次のようになります。

$$
p(\lambda| x_1, x_2, _dots, x_n) = Gamma(\lambda | \alpha +\sum_{i=1}^{n} x_i, \beta+n)
$$

以上で、事後分布もガンマ分布であり、ガンマ分布がポアソン分布の協約事前分布であることが証明されました。

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