np.whereで効率的に値を出し分ける

今回もnumpyのテクニックの紹介です。np.whereというメソッドを解説します。

参考: numpy.where — NumPy v2.0 Manual

これは何かというと、第1引数にTrue/Falseで評価できるデータの配列を渡すとその評価に応じてTrueなら第2引数、Falseなら第3引数の値を返す、というものです。

第2, 第3引数に渡すのは第1引数に渡した配列と同じ長さ(多次元なら全て同じ)でも良いし、定数であったり、ブロードキャストすれば同じ形にできるものなら何でも良いです。

一番シンプルな例としては、条件を満たすかどうかでそれぞれ異なる定数を返すようなものでしょうか。

import numpy as np


scores = np.array([45, 85, 72, 50, 90])
results = np.where(scores >= 60, '合格', '不合格')
print(results)
# ['不合格' '合格' '合格' '不合格' '合格']

説明いらないと思いますが、60点以上なら合格、と判定するメソッドですね。

上記の例のように、事前にTrue/False の配列を作っておくのではなく、何かしらの条件式を代1引数に渡すような使い方になると思います。条件に応じて何かしらの演算を行いたい場合は、第2, 第3引数に計算式を入れて結果を渡すような形になります。例えば、偶数なら1/2, 奇数なら 3倍して1を足す、みたいな処理をするならこうです。

np.where(scores%2 == 0, scores/2, 3*scores+1)
# array([136., 256.,  36.,  25.,  45.])

1次元配列の場合は、内包表記でもほぼ同じことができるのでありがたみが薄いですが、np.whereは多次元配列で便利なことがあります。(単純に、内包表記の方が不便になるだけという見方もできますが。)

自分が最近使った例としては、欠損値がある行列Aと別の行列Bがあった時に、欠損値以外は元の行列Aの値、欠損してる部分はBの値、で埋めたいというものでした。

これが次のようにして簡単に行えます。

A = np.array(
        [[1, 2, 3,], [np.nan, 5, 6], [7, np.nan, 9]]
    )
B = np.array(
        [[11, 12, 13,], [14, 15, 16], [17, 18, 19]]
    )

print(np.where(np.isnan(A), B, A))
"""
[[ 1.  2.  3.]
 [14.  5.  6.]
 [ 7. 18.  9.]]
"""

コードがすっきり書けること以外にもベクトル処理が行えることによるパフォーマンス面のメリットなど、利点があるので機会があれば使ってみてください。

Nanを含むnumpy配列のデータを専用メソッドで手軽に集計する

numpyのちょっとしたテクニックの話です。僕は最近まで知らなかったのですが、numpyには np.nansum など nan + 集計関数名 という命名規則のメソッド群が用意されています。これの紹介をします。

前提として、 numpy配列の値を合計したり平均を取ったりする時、データ中にnanがあると結果もnanになります。pandasのSeriesの場合と挙動が違うのですね。例えば以下のような感じです。(Seriesと挙動違うよという話は以前どこかの記事で書いた覚えがあります)

import numpy as np
import pandas as pd


# nanを含むデータを作る
ary = np.array([1, 1, 2, 3, np.nan, 8])
print(ary)
# [ 1.  1.  2.  3. nan  8.]

# 合計するとnanになる
print(ary.sum())
# nan

# 平均も同様
print(ary.mean())
# nan

# Series はnanを無視してくれる
print(pd.Series(ary).sum())
# 15.0
print(pd.Series(ary).mean())
# 3.0

欠損値の存在に気づくきっかけになったりしてありがたいこともありますし、仕様としてどうあるべきかを考えたらnullの伝播が実装されているこの作りが正しいと思えるのですが、この挙動が不便なことが多いのも事実です。

僕はこういう時大体Seriesに変換してしまって集計していました。

ただ、実は numpyにもNanに対応したメソッドがちゃんとあり、それが冒頭に書いたnansumです。maxにはnanmax, stdにはnanstd のように多くのメソッドに対して実装されています。

dir()で探すと一覧額作成できます。

for m in dir(np):
    if m.startswith("nan"):  # メソッド名がnanで始まるか
        if m.replace("nan", "") in dir(np):  # nanの部分を除外した場合に同じ名前のメソッドがあるか
            print(m)
"""
nanargmax
nanargmin
nancumprod
nancumsum
nanmax
nanmean
nanmedian
nanmin
nanpercentile
nanprod
nanquantile
nanstd
nansum
nanvar
"""

これらを使うと、エラーが起きずにnanを無視して無視して残りの要素について集計してくれます。

print(np.nansum(ary))
# 15.0
print(np.nanmean(ary))
# 3

1次元配列の場合は内包表記での対応とか色々やり方もあるのですが多次元になってくると面倒だし集計のために補完するのも面倒なのでありがたいですね。使い方がnp.nansum(ary)であって、ary.nansum() では無いので注意してください。

もう一点、 np.nan ではなく、Noneを含めてるとこれは数値の欠損値では無いので相わらずエラーになります。ここも注意です。

ary2 = np.array([1, 1, 2, 3, None, 8])

try:
    np.nansum(ary2)

except Exception as e:
    print(e)
# unsupported operand type(s) for +: 'int' and 'NoneType'

SQLでNULL同士を等しいとみなして効率的に比較を行う方法

今回はSQLの小ネタです。

初心者がミスりがちな話なのですが、SQLでは通常 NULLとNULLは等しいとは見做されません。

例えば、`select null = null ` など実行すると、Trueではなくnull が返ってきます。

しかし、場合によってはnull同士は等しいものとして判定したいことがあり、その場合は何かしら一工夫する必要があります。両方nullという場合だけTrue返せばいいということもなく、当然値が入っているなら値が入ってるもの同士は通常の比較処理を行い、0や空文字も含めてnull以外の値とnullは違うものとみなし、その上でnull同士は等しいという判定をやるケースですね。

null以外の値が全部0以上の数値であることがわかっているなら coalesce でnullを-1に変換してから比較するとか、文字列方の列で、かつ値が入っている部分にnullって文字列がないことが確認できているなら null っていう文字列で埋めて比較するといった手段が取れます。

しかし、この列に絶対無いと言い切れる値が存在しない場合、補完して比較する方法は使えません。こういった場合に、スマートにnullを考慮した比較を行える方法をMySQLとSnowflakeの両環境について紹介します。

MySQLの場合

MySQLの場合、 <=> という演算子がサポートされています。これは、「NULLセーフイコール演算子」といいます。

これを使うと、 `selct null <=> null` がTrueになります。

ドキュメント: MySQL :: MySQL 8.0 Reference Manual :: 14.4.2 Comparison Functions and Operators

Snowflakeの場合

Snowflakeの場合、上記の<=>演算子はサポートされていませんが、`is disticnt from` という演算子が実装されています。

ドキュメント: IS [ NOT ] DISTINCT FROM | Snowflake Documentation

ちょっと長いので、<=>のほうが便利だよなぁとは思うのですが、標準SQLに準拠した書き方はこちらの方です。(最初、Snwoflake専用の方言かと勘違いしていました)

そこそこの頻度で使う機会がある構文だと思うので、頭の片隅にでも置いといてください。

Pythonで非負値行列分解

これもずっと前に記事にしたような気がしていたのですが、最近ちょっと仕事で使おうと思って自分のブログで検索したら書いてなかったことがわかったのでこの機会に記事にします。

行列を複数の行列の積に分解する方法は複数ありますが、その中でも非負値行列分解というsy方があります。

これは、元の行列の全ての要素が0以上(0を許すので正値ではなく非負値といいます)の場合に使える分解方法です。一般的には低rankな二つの行列で、それぞれの行列の全ての要素も0以上の行列の積に分解します。

数式で言うと、$V \approx W \times H$ ですね。 $V$が$M\times N$行列だとした場合、分解後のrankを$K$とすると、$W$は$M\times K$行列、$H$は$K\times N$行列になります。

ここで$V$は元の行列(データ行列)で、行数はサンプル数、列数は特徴数です。
$W$は基底行列になり各行は元データの異なる要素の「基底」や「パターン」を示します。
そして、$H$は係数行列で、各列は基底行列の要素がどの程度元のデータに寄与しているかを示します。

この分解によって、元のデータの背後に潜在する低次元のパターンや構造を捉えることができます。

分解後の要素が全て非負なので、分解結果を加法的に扱えるのが利点です。負の値が混ざってるとある値が大きかった時にそれに掛け算される係数が正なのか負なのか考慮して解釈しないといけないですがここが絶対0以上と保証されていると評価されやすいですね。

また、次元削減やデータ量の削減にも有宇高です。この用途で使われるため、$K$は小さな値が採用されやすいです。

この非負値行列分解はが画像処理とか音声解析、推薦システムの中で活用されていますね。

さて、scikit-learnを使って実際にやってみましょう。乱数で生成した行列でやってみますね。

ドキュメントはこちらです。
参考: NMF — scikit-learn 1.5.2 documentation

import numpy as np
from sklearn.decomposition import NMF

# サンプルデータ生成
# 乱数で5x4の非負行列を作成
np.random.seed(0)
V = np.random.randint(0, 6, size=(5, 4))

# NMFを適用、ランク(分解する際の次元)を2に設定
model = NMF(n_components=2, init='random', random_state=0)
W = model.fit_transform(V)  # 基底行列W
H = model.components_       # 係数行列H

# 分解結果を表示
print("元の行列 V:")
print(V)
"""
元の行列 V:
[[4 5 0 3]
 [3 3 1 3]
 [5 2 4 0]
 [0 4 2 1]
 [0 1 5 1]] 
 """

print("\n基底行列 W:")
print(W)
"""
基底行列 W:
[[1.97084006 0.        ]
 [1.35899323 0.33537722]
 [0.90516396 1.61014842]
 [0.76977917 0.6670942 ]
 [0.         1.7698575 ]]
"""

print("\n係数行列 H:")
print(H)
"""
係数行列 H:
[[2.09286365 2.49350723 0.         1.50627845]
 [0.63319723 0.41601049 2.69948881 0.        ]]
"""

# 元の行列の近似値を計算
V_approx = np.dot(W, H)

print("\n近似された行列 V_approx:")
print(V_approx)
"""
近似された行列 V_approx:
[[4.12469952 4.91430393 0.         2.96863391]
 [3.05654746 3.52817989 0.90534704 2.04702222]
 [2.91392627 2.92687151 4.34657765 1.36342897]
 [2.03344504 2.19696811 1.80081332 1.15950177]
 [1.12066887 0.73627928 4.7777105  0.        ]]
"""

見ての通りでちょっとクセがありますね。
基底行列の方はtransformで元のデータを変換して取得し、係数行列の方がcomponents_に入っています。

さて、近似した行列ですが、元の行列が純粋にただの乱数で生成されたもので、通常のデータであれば背景にあるはずの隠れた構造とかを一切持たないものだった割に結構近い値で近似できてるのではないでしょうか。

久しぶりに使うと、どっちの行列がどっちだっけとか、転地必要だったっけ、とか色々迷うのですが慣れれば手軽に扱えるので機会があれば試してみてください。

Pythonでマルチプロセス処理

前回の記事がマルチスレッドだったので今回はマルチプロセスを紹介します。

Pythonにおけるマルチプロセスの1番のメリットはGILの制約を回避できることでしょうね。

ただ、先に書いておきますが、この記事で書いている方法はJupyter notebookのセルに直接書くと正常に動作せずエラーになることがあります。.pyファイルを作成してそこに記入して使うようにしましょう。

マルチプロセスを実装するには、最近はconcurrent.futuresのProcessPoolExecutorを使います。
参考: concurrent.futures — 並列タスク実行 — Python 3.12.6 ドキュメント

ドキュメントのサンプルコードを参考に動かしてみましょう!
例として取り上げられているのは素数判定ですね。Pythonで処理が完結するのですが、GIL制約のためマルチスレッドだと高速化の恩恵が受けられないものです。

from concurrent.futures import ProcessPoolExecutor
import math


PRIMES = [
    112272535095293,
    112582705942171,
    112272535095293,
    115280095190773,
    115797848077099,
    1099726899285419
    ]

def is_prime(n):
    print(f"整数 {n} を素数判定します")
    if n < 2:
        return False
    if n == 2:
        return True
    if n % 2 == 0:
        return False

    sqrt_n = int(math.floor(math.sqrt(n)))
    for i in range(3, sqrt_n + 1, 2):
        if n % i == 0:
            return False
    return True

def main():
    with ProcessPoolExecutor() as executor:
        for number, prime in zip(PRIMES, executor.map(is_prime, PRIMES)):
            print('%d は素数か: %s' % (number, prime))

if __name__ == '__main__':
    main()

# 以下実行結果
"""
整数 112272535095293 を素数判定します
整数 112582705942171 を素数判定します
整数 112272535095293 を素数判定します
整数 115280095190773 を素数判定します
整数 115797848077099 を素数判定します
整数 1099726899285419 を素数判定します
112272535095293 は素数か: True
112582705942171 は素数か: True
112272535095293 は素数か: True
115280095190773 は素数か: True
115797848077099 は素数か: True
1099726899285419 は素数か: False
"""

最初にそれぞれの値の素数判定が始まってる旨のメッセージが出てその後に結果が順番に出てきたので、並行して処理されているのが確認できました。

is_prime(n)が並行して実行している処理です。

ProcessPoolExecutor() でエクゼキューターを作成して、今回は submit()ではなく、mapで適用していますね。map()には第一引数で並列実行したい関数を渡し、次の引数でその関数に渡す引数のリストを渡します。

submit と map はどちらもProcessPoolExecutor や ThreadPoolExecutor の継承元の抽象クラスのExecutor に実装されているメソッドなので、実はマルチプロセスとマルチスレッドのどちらでも両方使うことができます。お好みの方で書いたらよさそうです。

細かい挙動は異なっていて、前回のsubmit()ではas_completed()を使って終わった順番に処理を取り出していましたが、map()を使う場合は、処理自体は並列して同時に行われて順不同で完了しますが、結果の取り出しは渡した引数の順番になります。

Pythonでマルチスレッド処理

とっくの昔に、threadingを使ったマルチスレッド処理について記事を書いていたつもりだったのに、まだ書いてないことに気づきました。(そして、マルチプロセスの処理についてもまだ書いてませんでした。)

それでは気づいたこのタイミングで記事にしようと思ったのですが、改めてドキュメントを見てみると、concurrent.futures というより高レベルなモジュールがあるとのことでしたので、こちらを利用したマルチスレッド処理について紹介します。

先に言っておきますが、PythonにはGIL (Global Interpreter Lock) という制約があって、マルチスレッドにしたとしても、Pythonインタープリタは一度に1つのスレッドしか実行できません。なので、Pythonで完結するプログラムはマルチスレッドしても高速化の恩恵はありません。では、いつマルチスレッドは使うのかというと、Python外部のリソース(ストレージとかOSの処理とかWebアクセスとか)の待ち時間が発生する場合になります。

前置きが長くなってきましたが、実際に、concurrent.futuresを使ったマルチスレッドの並列処理のサンプルコードを紹介します。concurrent.futures.ThreadPoolExecutor というのを使います。
参考: concurrent.futures.ThreadPoolExecutor

5つのサイトへのアクセスを並列でやってみましょう。

import concurrent.futures
import requests
import time


# 取得するURLのリスト
URLS = [
    'http://www.example.com',
    'http://www.python.org',
    'http://www.openai.com',
    'http://www.wikipedia.org',
    'http://www.github.com'
]


# URLからコンテンツを取得する関数
def fetch_url(url):
    print(f"実行開始: {url}")
    response = requests.get(url)
    print(f"実行完了: {url}")
    return url, response.status_code, len(response.content)


# マルチスレッドでURLを並列取得する
start_time = time.time()

with concurrent.futures.ThreadPoolExecutor(max_workers=5) as executor:
    # 各URLに対してfetch_url関数を並列実行
    futures = {executor.submit(fetch_url, url): url for url in URLS}

    for future in concurrent.futures.as_completed(futures):
        url = futures[future]
        try:
            url, status, content_length = future.result()
            print(f"URL: {url}, Status: {status}, length: {content_length}")
        except Exception as e:
            print(f"{url}でエラーが発生しました: {e}")

print(f"処理時間: {time.time() - start_time}秒")

# 以下結果
"""
実行開始: http://www.example.com
実行開始: http://www.python.org
実行開始: http://www.openai.com
実行開始: http://www.wikipedia.org
実行開始: http://www.github.com
実行完了: http://www.python.org
URL: http://www.python.org, Status: 200, length: 50928
実行完了: http://www.github.com
URL: http://www.github.com, Status: 200, length: 254186
実行完了: http://www.openai.com
URL: http://www.openai.com, Status: 403, length: 14186
実行完了: http://www.example.com
URL: http://www.example.com, Status: 200, length: 1256
実行完了: http://www.wikipedia.org
URL: http://www.wikipedia.org, Status: 200, length: 78458
処理時間: 0.49734020233154297秒
"""

ドキュメントのコードをもとにしていますが、fetch_url()メソッドの最初と最後にprit文を差し込んで5つのURLについて同時に処理が進んでいるのが分かるようにしました。開始と終了が異なる順番で結果がprintされていて、並列で動いてた感がありますね。

さて、上記コードの fetch_url() がマルチスレッドで実行されていた関数本体ですが、 肝心のThreadPoolExecutorはかなり使い方にクセがあります。

oncurrent.futures.ThreadPoolExecutor(max_workers=5) でエグゼキューターを作って、submit()や、as_completed()というメソッドを使っていますね。

submit() は実行キューへタスクを送信するメソッドです。

そして、もう一つ、oncurrent.futures.as_completed() というのを使っています。
こちらは、送信された非同期タスクが完了した順にFutureオブジェクトを返すジェネレータ関数です。これを使うことで、並列で動いていたメソッドが完了した順に、後続の処理を行うことができます。
上の例では、future.result() でメソッドの戻り値を受け取って、順次printしています。

使い所は慎重に選ばないと高速化等の効果は得られないですし、書き方にクセがあるので、慣れないと少々戸惑うのですが、ハードウェアアクセスの待ち時間が長い時や外部リソースへのアクセスを伴う処理の高速化では非常に役に立つものなので機会があったら使ってみてください。

Streamlitでアニメーション

今回はStreamlitでアニメーションを作成します。

といっても、やることは以前紹介したプレースホルダーの中身を順次更新し続けるだけ、という実装です。
参考: Streamlitのコンテナを使って動的にページを表示する

アニメーションさせるためには一つの枠を連続的に書き換えて画像を表示するので、st.empty() を使います。

とりあえず一個やってみましょう。画像の描写はmatplotlibを使ってみました。お試しなのでアニメーションの内容は線分をぐるぐる回すだけです。(両端を三角関数で実装します。)

import streamlit as st
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np


# 描画エリアを設定
fig = plt.figure()
ax = fig.add_subplot(111)

ax.set_xlim(-1.2, 1.2)
ax.set_ylim(-1.2, 1.2)

# アニメを描写するプレースホルダーを作成
placeholder = st.empty()

# Streamlitのアニメーション表示
for i in range(100):
    ax.clear()
    ax.set_xlim(-1.2, 1.2)
    ax.set_ylim(-1.2, 1.2)
    ax.plot(
        [np.cos(i*0.1), -np.cos(i*0.1)],
        [np.sin(i*0.1), -np.sin(i*0.1)]
    )
    
    # プレースホルダーを更新
    placeholder.pyplot(fig)

これで線がぐるぐる回るアニメーションが表示できます。

あれ、time.sleep(0.01)とかウェイトを入れておかないとこのfor文が一瞬で終わってしまうんじゃないの?と思われるかもしれませんが、実験してみたところちょうど良い感じにアニメーションになりました。

どうもstreamlitの仕様として一枚一枚の画像の表示(pyplot)にウェイトがかかっているようです。

これは結構大きなメリットで、あまり表示時間とか気にせずにいい感じのアニメーションが作れます。

一方で、time.sleep(0.01) で0.01秒間隔の表示で1000フレーム使ってピッタリ10秒の動画を作ろう!みたいな調整は困難です。まぁ、これはstreamlitは動画作成を念頭に置いたものではないと思うので仕方ないですね。

ただし、デフォルトだと動作が早すぎるという場合はtime.sleep()を使ってウェイトを増やしましょう。

StreamlitでPyGWalkerを動かす

2連続のPyGWalker関係の話です。そして、相変わらずStreamlit関係の記事です。

発展著しい両ライブラリですが、StreamlitにPyGWalkerを埋め込んで動かすこともできます。そして、使用感としてはJupyterよりStreamlitに埋め込んだ方が使い勝手がいいですね。

使用するメソッドですが、streamlitがPyGWalkerを埋め込むメソッドを持っているわけではなく、PyGWalker側がStreamlit上で動作するメソッドを持っているので注意が必要です。Streamlit側のドキュメントを読み込んでも本機能についての記述は出てきません。(少なくとも今日時点では。)

こちらを読みます。
参考: PyGWalkerとStreamlitを使ったデータの探索と情報共有 – Kanaries

StreamlitRenderer というのを使えば良いのですね。そして、設定を保存するspec引数もあります。

1点、Jupyterで動かす場合との違いなのですがセキュリティ上の理由なのかわかりませんがデフォルトではspecで指定したjsonファイルへの書き込み、要するに保存ができません。すでにどこかで保存されたダッシュボードの読み込みだけが可能という挙動になります。

これは、spec_io_mode 引数がデフォルトで”r” (読み込みモード) になっているためです。Streamlit上で作ったビューをそのまま保存したい場合は、”rw” を指定する必要があります。

注意点はこれだけなので、早速やってみましょう。データは何でもいいのでまたワインです。

from pygwalker.api.streamlit import StreamlitRenderer
import pandas as pd
import streamlit as st
from sklearn.datasets import load_wine

st.set_page_config(layout="wide")

# データ読み込み
wine = load_wine()
# 特徴量名を列名としてDataFrame作成
df = pd.DataFrame(
    wine.data,
    columns=wine.feature_names,
)

# target列も作成する。
df["target"] = wine.target
df["class"] = df["target"].apply(lambda x: wine["target_names"][x])

pyg_app = StreamlitRenderer(
    df,
    spec="./st_config.json",
    spec_io_mode="rw"
)
pyg_app.explorer()

一番最後の、explorer()を忘れないように注意してくださいね。

これでStreamlit上でもTableau風のUIでグラフを描けるようになりました。

PyGWalkerのダッシュボード設定を保存する

Tableau public でローカルファイルセーブが実装されたのでやや存在感が薄れているのですが、TableauライクなダッシュボードをPythonで作れるPyGWalkerの記事2本目です。

前回書いたのがこのライブラリが登場した直後だったので、当時は今と比べるとまだ基本的な機能も揃っていなかったのですが、現時点では待望のダッシュボードの保存機能が実装されているのでその紹介です。

参考: PyGWalkerでデータフレームを可視化してみる

これ、使い方はすごく簡単で、walk メソッドで起動する時に、jsonファイルのパスをspec引数へ渡し、ダッシュボードを作ったら保存ボタンを押すだけです。(自動保存は今日時点ではサポートされていないらしい。

ReadMe にも記載がありますね。

前回の記事と同じようにワインのデータでやってみましょう。

import pandas as pd
from sklearn.datasets import load_wine
import pygwalker as pyg


# データ読み込み
wine = load_wine()
# 特徴量名を列名としてDataFrame作成
df = pd.DataFrame(
    wine.data,
    columns=wine.feature_names,
)

# target列も作成する。
df["target"] = wine.target
df["class"] = df["target"].apply(lambda x: wine["target_names"][x])

walker = pyg.walk(df, spec="./config.json"). # 設定の保存先をspecで指定 

こうすると、spec で指定したファイルが存在しなければ自動的に作成されます。そしてそこに設定が保存されます。起動時点で、specで指定したファイルが存在していたらそれが読み込まれて前回の続きから作業ができます。

繰り返しですが、「保存」そのものは自動ではやってくれないので、Saveのアイコンを確実に押しましょう。かなりわかりにくいですがこいつです。

Saveの文字はマウオーバーして出てきてくだけなので、その下の歯車付きテキストファイルのようなアイコンを探してください。

st.set_page_configでStreamlitのページの基本的な設定を行う

今回紹介するのは、st.set_page_config という設定コマンドです。

白状しておくと、僕は基本的に st.set_page_config(layout = “wide”) しか使っていません。(ほぼ確実に使うのになかなかこの文を覚えなくて何度も調べているので記事にしました。)

ドキュメントはこちらです。
参考: st.set_page_config – Streamlit Docs

Noteとして、 “This must be the first Streamlit command used on an app page, and must only be set once per page.” と書いてある通り、このメソッドは最初に1回だけ呼び出す必要があります。

これを使うと、デフォルトで中央寄席になっているレイアウトを画面全体に広げたり、ページタイトル(デフォルトではファイル名)を設定したり、ページアイコンを設定したりできます。

引数はドキュメントにある通りで以下の通りです。

page_title : ページのタイトルを文字列で指定。
page_icon: 絵文字や絵文字コードを用いてアイコンを指定できる。”random”も可能。
絵文字コードの一覧はこちら
layout: ページのレイアウト。”centered” or “wide” の2種類。 centered がデフォルトなので、使う場合は基本的には “wide”の方を使用することになります。
initial_sidebar_state: サイドバーの初期状態。”auto”/ “expanded”/ “collapsed” から指定できる。基本的に、デバイスサイズで判断して動いてくれるデフォルトの”auto”で良いと思いますが、必ず表示したい/隠したいという場合は残り二つも選択肢になると思います。
menu_items: 右上に表示するメニューの設定です。

menu_itemsは指定する場合は次のように辞書で指定します。
下記のサンプルはドキュメントからそのまま持ってきました。

import streamlit as st

st.set_page_config(
    menu_items={
        'Get Help': 'https://www.extremelycoolapp.com/help',
        'Report a bug': "https://www.extremelycoolapp.com/bug",
        'About': "# This is a header. This is an *extremely* cool app!"
    }
)

“Get Help” / “Report a bug” はそれぞれURLを指定するとリンクになります。Noneの場合はメニューにこれらの項目自体がなくなります。

“About” はマークダウンの文字列で、ここに書いた内容がそのまま表示されるようになります。指定しない場合はStreamlitのデフォルトのテキストです。