前回に引き続き今回も言葉の定義です。出典はいつもの沖本本から。
和分過程
d-1階差分をとった系列は非定常過程であるが、d階差分をとった系列が定常過程に従う過程は、
d次和分過程、もしくはI(d)過程と呼ばれます。
また、I(0)過程は定常過程で定義されます。
ARIMA過程
d階差分をとった系列が定常かつ反転可能なARMA(p,q)過程に従う過程は、
次数(p,d,q)の自己回帰和分移動平均過程、もしくはARIMA(p,d,q)過程と呼ばれます。
和分過程やARIMA過程の和分次数dは、AR特性方程式におけるz=1という解の個数に等しいことが知られているそうです。
前回の記事で定義した単位根過程は I(1)過程になり、
単位根過程の差分系列が定常で反転可能なARMA(p,q)過程の時、
それはARIMA(p,1,q)過程になります。
単位根過程の例として代表的なものにランダムウォークがあります。
言葉だけなら市場系のデータについて学んでいるとしょっちゅう出てきますね。
過程$y_t$が、
$$
y_t = \delta + y_{t-1} + \varepsilon_t , \ \ \ \varepsilon_t\sim iid(0, \sigma^2)
$$
と表現される時、$y_t$はランダムウォーク(random walk)と呼ばれます。
ただし、 $y_0=0$とします。また、 $\delta$はドリフト率と呼ばれるそうです。
定義式をよく見ると、AR(1)過程の形をしており、
AR特性方程式の解は$1$なので、これが定常でないこともわかります。
また、$\Delta y_t = y_t – y_{t-1} = \delta + \varepsilon_t$
であり、これは定常過程なので、ランダムウォークが単位根過程であることがわかります。