ARMA過程

今回も沖本先生の経済・ファイナンスデータの計量時系列分析を元にした記事です。
最近、AR過程やMA過程について色々と紹介していますが、これら両方を含む過程を考えることができます。
それを自己回帰移動平均(ARMA)過程と言います。
(autoregressive moving average process)

(p,q)次ARMA過程(ARMA(p,q)過程)は、次の式で定義されます.

$$
y_t = c + \phi_1y_{t-1}+\cdots+\phi_py_{t-p}+\varepsilon_t+\theta_1\varepsilon_{t-1}+\cdots+\theta_q\varepsilon_{t-q}\\
\varepsilon_t \sim W.N.(\sigma^2)
$$
ARMA過程の性質は、AR過程の性質とMA過程の性質の強い方が残ります。
例えば定常性については、AR過程部分が定常であれば定常になります。
(結果だけ見れば、MA過程が定常過程なので、それに定常過程を足しても定常というだけの話に見えますが、
正確な証明にはもう少し細かな議論を要します)

AR過程部分の定常性については、以前の記事でも紹介したAR特性方程式を使います。

ARMA(p,q)過程が定常の時、過程の期待値は、AR過程部分の期待値と等しくなります。
$$
\mu = E(y_t) = \frac{c}{1-\phi_1-\phi_2-\cdots-\phi_p}
$$

また、$q+1$次以降の自己共分散と自己相関もAR部分とおなじ、次のユール・ウォーカー方程式に従います。
$$
\begin{eqnarray}
\gamma_k & = \phi_1\gamma_{k-1}+\phi_2\gamma_{k-2}+\cdots+\phi_p\gamma_{k-p}, k\geq q+1\\
\rho_k & = \phi_1\rho_{k-1}+\phi_2\rho_{k-2}+\cdots+\phi_p\rho_{k-p}, k\geq q+1
\end{eqnarray}
$$
$q$次までについては、MA項の影響もあり具体的な表記が難しくなります。

また、定常ARMA過程の自己相関は指数的に減衰します。これもAR部分の性質ですね。
(MA過程の部分の自己相関はq+1次以降消えます。)

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