久々に沖本先生の経済・ファイナンスデータの計量時系列分析に戻って、
時系列分析の用語を二つ紹介します。
まずは差分系列(5ページ)。
原系列$y_t$に対して、1点離れたデータとの差を取ることで生成できる系列、$y_t-y_{t-1}$を、
差分系列、または階差系列と呼び、$\Delta y_t$と書きます。
続いて単位根過程(105ページ)。
原系列$y_t$が非定常過程であり、差分系列$\Delta y_t=y_t-y_{t-1}$が定常過程である時、
過程は単位根過程である(unit root process)と言われます。
名前の由来は、単位根過程を誤差項が定常過程であるAR過程を用いて表現した時に、
AR特性方程式が$z=1$という解を1つ持つことらかきているそうです。
単位根過程の定義においては、差分系列が定常過程であることしか定義されておらず、
これがAR過程やARMA過程であることなどは要求されていないので注意です。
(お恥ずかしい話ですが、自分はデータサイエンティストに転職するずいぶん前に時系列分析を雑に勉強して、
差分とったらAR過程になるのが単位根過程だと誤って理解していたことがあります。)
このブログの通常の流れでは、ここから単位根過程のサンプルを一個構築して
プロットした図を出すのですが、実はすでに登場しているのでそちらにリンクしておきます。
参考:自己回帰過程のサンプル
この記事で構築したAR(3)過程の3個目の例が単位根過程です。