以前の記事で、S3にディスク上のファイルをアップロードしたり逆にS3からディスクにダウンロードしたりする方法を紹介しました。
参考: boto3でS3のファイル操作
ただ、実際に使っているとディスクを経由せずにS3のファイルを読み込んでそのままプログラムで処理したかったり、結果を直接S3に書き込みたい場面もあります。その方法をまだ書いてなかったのでまとめておきます。
正直に言うと、本当にやりたかったのはS3上のテキストファイルに直接どんどんテキストを追記していく操作だったのですが、どうやらS3はオブジェクトの出し入れにしか対応しておらず、追記などの編集はできないそうです。結局やりたかったことはできなかったのですが、この方法を探すためにドキュメントを読み込んだんのでその時間を無駄にしないようにしようと言う記事です。
読んだドキュメントはこれです。putが書き込み、getが読み込み
S3 — Boto3 Docs 1.24.42 documentation の S3.Object.put
S3 — Boto3 Docs 1.24.42 documentation の S3.Object.get
さて、見ていきましょう。boto3はS3に関してはresource APIも用意されているのでこちらを使います。
まず、S3への書き込みです。これは、S3上のオブジェクトを取得し、オブジェクトputメソッドを使います。オブジェクトが存在しない状態でもkeyを取得できる、ってことと、putするときにデータはバイナリにエンコードしておかないといけないと言う2点がつまずきポイントでしょうか。また、上で追記はできないって書いてますが、既存のオブジェクトのキーを指定しまうとファイルが丸ごと上書きされていまいます。その点も注意しましょう。
import boto3
text = "書き込みたいテキストの内容"
data = text.encode("utf-8") # エンコードしてバイナリデータにする
# もちろん、 data = "書き込みたいテキスト".encode("utf-8")でも良い。
# 書き込み先のバケットと、オブジェクトキーを設定。
bucket_name = "{バケット名}"
key = "{書き込み先ファイル名}" # hogehoge.text など。
s3 = boto3.resource("s3")
# オブジェクトを取得
s3_object = s3.Object(bucket_name, key)
result = s3_object.put(Body=data) # resultに書き込み結果のステータスコードなどの辞書が戻る
これで、バケットにデータが作成されます。「s3.Object(bucket_name, key)」としてオブジェクトを一発で取ってますが、これはまずバケットを指定して、その後、そのバケット内のオブジェクトを指定しても良いです。一つのバケットに何ファイルも書き込む場合などに使えるかもしれません。以降に紹介するgetでも状況は同様です。
# 以下の二行で、 s3_object = s3.Object(bucket_name, key) と同じ
s3_bucket = s3.Bucket(bucket_name)
s3_object = s3_bucket.Object(key)
PandasのデータフレームをS3に保存したい場合などは、to_csvと組み合わせると良いでしょう。これファイル名のところにNoneを渡せばファイルに書き込まずにCSVのテキストを返してくれます。それをエンコードして書き込んだらOKです。
df = pd.DataFrame({
"id": [0, 1, 2],
"text": ["あいうえお", "かきくけこ", "さしすせそ"],
})
print(df)
"""
id text
0 0 あいうえお
1 1 かきくけこ
2 2 さしすせそ
"""
bucket_name = "{バケット名}"
key = "df.csv" # 保存先ファイル名
s3_object = s3.Object(bucket_name, key)
result = s3_object.put(Body=df.to_csv(None, index=None).encode("utf-8"))
次は読み込みです。これはオブジェクトのメソッド、getを利用します。
さっき書き込んだCSVファイル読み込んでみましょうかね。結果は辞書で返ってきますが、key=”Body”に対応しているのが欲しいデータです。
bucket_name = "{バケット名}"
key = "df.csv" # 保存先ファイル名
s3_object = s3.Object(bucket_name, key)
s3_object.get()["Body"]
# <botocore.response.StreamingBody at 0x1179bc910>
StreamingBody なる型で返ってきました。これ、with openして 通常のファイルを読み込むときと同じように read()のメソッドを持っているので、それを使えます。また、読み込んだデータはバイナリ型なので文字列に戻すならdecodeが必要です。
csv_text = s3_object.get()["Body"].read().decode("utf-8")
print(csv_text)
"""
id,text
0,あいうえお
1,かきくけこ
2,さしすせそ
"""
元のファイルがテキストファイルであればこれで読み込み完了ですね。
ちなみに、元々DataFrameを書き込んだものなので、DataFrameに読み込みたいと言うケースもあると思います。その場合、テキストに変換を終えたデータではなく、StreamingBodyを使います。つまりこうです。
df = pd.read_csv(s3_object.get()["Body"])
print(df)
"""
id text
0 0 あいうえお
1 1 かきくけこ
2 2 さしすせそ
"""
これで、ディスクを経由することなくメモリ上のテキストやデータフレームをS3に書き込んだり逆にS3からメモリに読み込んだりできるようになりました。
最初にやりたいと言ってた追記なんですが、これはもう一度読み込んでテキストなりデータフレームなりに新しいデータを追加して改めて書き込むしか無さそうです。